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試算表の意味

○試算表はどんな目的でつくるのでしょうか。


教科書には「試算表は、転記が正確に行われたかどうかを確認するために作成する。」とあります。
手書きで行う簿記は、記帳が正しく行われていることを検証する必要があります。仕訳帳から総勘定元帳への転記が正しく行われたかどうかを確かめるために作成する表が試算表になります。その際にもとになる考え方が「貸借平均の原理」です。


「貸借平均の原理」とは、すべての勘定の借方合計金額とすべての勘定の貸方合計金額は等しくなるという原理です。複式簿記の基本となる特徴です。


簿記では、まず取引をもとに貸借の金額が一致するように仕訳をします。その後、仕訳した借方の科目の金額を該当の勘定口座の借方へ、貸方の金額を該当の勘定口座の貸方へそれぞれ転記します。この転記の正確性を検証するのが試算表です。


以前、専門学校の講師の先生から簿記を教えてもらう機会があり、開始記入から期中仕訳、決算整理をして損益計算書貸借対照表を作成する課題がでました。その際、仕訳帳から総勘定元帳へ正しく転記したことを確認するために、合計試算表をつくりました。

講師 合計試算表は正しく作成できましたか?
私  貸借の合計金額が一致しているので、正しくできました。
講師 他に合計試算表の合計金額と一致する金額がありますが、どの金額ですか?
私  総勘定元帳の借方貸方それぞれの合計金額かな???
(これらを集めたのだから一致して当然!)
講師 仕訳帳の合計金額です。

合計試算表は貸借合計さえ一致すれば、正しくできたと思い込んでいた私は、衝撃を受けました。教科書にも「仕訳帳の合計金額とも一致する」と記載されているのにも関わらず、単に貸借金額が一致した表だけ作成すればいいと思っていたことを大反省しました。
その後、合計試算表を指導するときは、ドヤ顔で生徒に質問しています。

合計試算表の合計金額は、他にどの金額と一致しますか?

 

簿記の「貸借平均の原理」は、すごい発明だ!! 鳥肌が立つ!

 

参考:文部科学省検定済教科書 新訂版 簿記 醍醐 聰(他11名)著